AAOS (American Academy of Orthopaedic Surgeons) 2025 Annual Meeting at San Diego 参加記
更新日 2025.4.5
2025年3月10日から14日まで、アメリカ・サンディエゴにて開催された AAOS 2025 Annual Meeting に参加しましたので、ご報告いたします。
AAOSは世界最大規模の整形外科学会であり、毎年2000題以上の口演やポスター発表が行われ、世界中から1万人を超える整形外科医、研究者、医療関係者が一堂に会します。最新の臨床研究から手術技術、教育、医療政策に至るまで、整形外科に関するあらゆる分野を網羅する、一大イベントです。
今回は千葉大学からは5演題がe-posterに採択され、佐粧先生、伊藤先生、私(濱田)の3名で日本から参加しました。現地では、UCSF(University of California, San Francisco)に留学中の渡邉先生、Scripps Research Instituteに留学中の坂本先生とも合流し、学会のみならず、貴重な交流の機会にも恵まれました。
会場のスケールはまさに圧巻で、日本の学会とは桁違いの規模に驚かされました。展示ホールには、最新の手術器具やAI技術、VRトレーニングなどの体験型ブースが並び、最先端の整形外科を“体感”できる空間が広がっていました。
特に印象的だったのは、同年代と思われる若手医師たちの発表のレベルの高さです。英語圏以外の国からの参加者も多く、プレゼンテーションや質疑応答は堂々たるものでした。研究内容も非常に興味深く、大きな刺激を受けました。なかでも強く感じたのは「数の違い」です。日本では数百症例を集めるだけでも大変ですが、現地の発表では数千例を対象とした研究も多く、研究規模の大きさに圧倒されました。
私の発表は「Anterior Tibial Subluxation Based on Tibial Bone Axis Using Knee Extended Load-Bearing Radiograph could Predict the Rotational Instability of the Knee」というタイトルで、前十字靱帯損傷膝の回旋不安定性を膝関節の立位伸展側面X線像を用いて評価できる可能性を示した、Chiba LEAF Studyの一報です。今回の学会では類似の発表もなく、今後は速やかに追加解析を進め、論文化を目指したいと考えています。
空いた時間には、現地の先生方やご家族と交流を深めました。初日の夜は、UCSF整形外科主任教授のDr. Ma、膝チームのチーフであるDr. Lansdownと会食させていただき、海外での手術手技や現在取り組まれている研究について多くの知見を得ることができました。2日目の夜には、ScrippsのDr. Lotzとの会食の機会をいただき、基礎研究の進め方やアメリカでの研究環境について有意義なお話を伺うことができました。
3日目の夜には、留学中の2家族と股関節グループの萩原先生も合流し、イチロー選手も通ったことで知られる「Sushi Ota」でお寿司をテイクアウト。私たちが滞在していたコンドミニアムにて会食を行いました。医療の話題にとどまらず、アメリカでの生活や子育てなど多岐にわたる話題で盛り上がり、心温まるひとときとなりました。
今回のAAOS参加を通じて、世界の整形外科の最前線に触れ、多くの学びと出会いを得ることができました。この貴重な経験を、今後の診療・研究活動に活かしていきたいと思います。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった大鳥先生をはじめ、日頃よりご指導いただいております佐粧先生、渡邉先生、堀井先生、また留守中に多大なるご協力をいただきましたスポーツグループおよび医局の先生方に、心より感謝申し上げます。今後ともご指導・ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
当教室関連のe-poster:
Dynamic change of acetabular component alignment in total hip arthroplasty based on the spino-pelvic Classification: A Prospective Radiographic Study; Shigeo Hagiwara, Rui Hirasawa, Yuya Kawarai, Junichi Nakamura et al.
The Preoperative T1ρ value of the Posterior Lateral Tibial Cartilage Predicted the Progression of Knee Osteoarthritis 10 Years after Anatomical Double-bundle ACL Reconstruction: Follow-up of a Previous Prospective Study; Shotaro Watanabe, Manato Horii, Takahisa Sasho et al.
Longitudinal Evaluation using Forgotten Joint Score-12 after Double Bundle Anterior Cruciate Ligament Reconstruction; Takuya Sakamoto, Shotaro Watanabe, Manato Horii, Takahisa Sasho et al.
Anterior Tibial Subluxation Based on Tibial Bone Axis Using Knee Extended Load-Bearing Radiograph could Predict the Rotational Instability of the Knee; Tsuyoshi Hamada, Shotaro Watanabe, Manato Horii, Takahisa Sasho et al.
Successful repair after arthroscopic rotator cuff repair is important for recovery of fatty infiltration over 2 years follow up using MRI IDEAL technique; Ryohei Sawada, Eiko Hashimoto, Nobuyasu Ochiai et al.
UCSF関連:
Long-Term Results of Reverse Total Shoulder Arthroplasty: Survival, Radiographic, Functional, and Clinical Outcomes with Over 10 Years of Follow-up; Shotaro Watanabe, ChunBong Benjamin Ma, et al.